「マチカネワニ」って見たことありますか?
つい先頃、兵庫県丹波市で小学3年生が1億1千年前の草食恐竜「鎧竜」(よろいりゅう)の歯の化石を発見しました。白亜紀前期日本最古の化石です。このニュースを見て思いだしました。池田にはこれに劣らぬすごい化石があるのだ!・・
石橋「待兼山」阪大豊中キャンバス理学部付近から昭和39年(1964)5月3日、当時の高校生が「マチカネワニ」のほぼ全身の化石を発見したのです。新生代・更新生中期の地層(大阪層群カスリ火山灰層)からと言われますから約40~50万年前の化石です。これは日本で発見されたワニ類の化石の第一号となります。
阪大の構内入口にある「大阪大学総合学術博物館」にその実物が展示されています。全長8mに及ぶレプリカも玄関の壁に張り付いていて驚きます。発見後学者が調査研究された結果、このワニはクロコダイル科マレーガビアル属の新種と判定され、学名「トミストマ・マチカネンセ」と名付けられました。またこのワニは下顎切断・後ろ足骨折の重傷にかかわらず暫く生きていたことが解りました。縄張り争いか雌の争奪の争いだと思われます。この頃には温帯森林があり、トウヨウゾウ・オオツノジカ・シナサイ・オオカミ・タヌキ・ハリネズミ・モグラ・ハタネズミなどもいたそうです。またこの頃は大阪湾が大きくいり込んでいて待兼山は海岸線でした。ここまでワニが泳いで来ていたのです。また50万年前は旧石器時代にあたり、僅かの人間が狩猟生活をしていたかも知れません。恐竜と同じ頃出現し今も生き延びているワニたちの生命力に親しみを感じ、当時の情景を想像すると神秘的で不思議な気持ちになります。
待兼山は平安時代から「ほととぎす」や「シカ」の名所として貴族が訪れていました。
清少納言の「枕草子」で山の一つに紹介されていますし、待兼山の「まちかね」が来ぬ人を待ちわびる歌枕として和歌に多く詠まれました。
「ほととぎす 人待つ山になくなれば 我うちつけに 恋まさりけり」 紀貫之
「夜をかさね 待兼山のほととぎす 雲井のよそに 一声ぞきく 新古今集
「津の国のまつかね山の呼子鳥(ほととぎす)なけど今くと言う人もなし」摂津名所図会
博物館の裏は里山となっていて四季折々の風情を楽しみながらの散策も良いものです。花崗岩の三角点(三角測量の基準点)もありますよ。見学後はミュウジアムカフェでスナックやコーヒでゆっくりとした時間を過ごされてはいかがですか。ぜひどうぞ!
【博物館は無料・コーヒは200円・営業時間10:00~18:00・日祝休業】
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