2016年2月8日月曜日

酒樽


樽(たる)と菰(こも)  【2月号池田酒の話の続きです】
桶(おけ)に底板と同じように蓋(ふた)を固定したものを樽(たる)と言います。
酒や醤油などの液体の醸造や貯蔵・運搬に使われました。それまでは陶磁器の壷が用いられていました。
古代の桶(おけ)は桧(ひのき)の薄片木を曲げて白樺や桜の皮で閉じた曲物(まげもの)
で作られていました。15世紀頃「台鉋」(だいかんな)【樫の台木に適切な角度で刃を仕込んだもの】が渡来して反鉋(そりがんな)が出来ました。それを使い吉野杉を年輪に沿って割り短冊形に湾曲に削って円筒形に並べて竹の「たが」【竹を割って束にして輪にしたもの】をはめて樽が作られるようになりました。そして江戸前期には広く普及しました。樽には運搬・貯蔵用のほかに祝儀用の「柄樽」が作られました。角のような一対の柄をつけて、黒や朱に塗られて贈答品として酒を贈りました。天野樽・柳樽・人形樽などと呼ばれています。
酒樽は「鏡開き」など祝い事に使われて、杉の木の香りが移った酒が喜ばれます。

酒樽に菰(こも)を被せた樽を「菰樽」と呼びます。池田・伊丹の酒は荷車や牛馬で「大物浜」(だいもつはま)【尼崎市大物町】まで運ばれ「樽廻船」で江戸へ運ばれました。その際に菰は酒樽の緩衝体となり、また牛馬の身体を傷つけないために工夫されました。
酒樽に菰が巻かれるようになると、広告宣伝のため酒名が記されるようになり次第に豪華な意匠が描かれるようになりました。酒造家の紋が「菰印」(商標)として飾られました。
菰造りは尼崎が有名で、現在も菰樽の殆どが尼崎市塚口本町の何軒かで生産されています。

満願寺屋 「小判印」    大和屋 「山三ツ印」    大和屋 「一鱗印」

山城屋  「山山印」    鍵 屋 「李白印」     などがありました。


酒の異名
ミワ(三輪)  ミキ(神酒) サカ(栄える)  竹葉(ちくよう) ササ(笹)
カスミ(霞)  はんにゃとう(般若湯)     キクスイ(菊水)


サケ(サは接頭語)H23. 3(2011)


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